ひとりで出来る青色申告 大きな流れを理解しよう
申告処理をひとりで行う手順
「青色申告をする」と宣言するだけで、10万円の控除を受けることができます。
青色申告の65万円の控除をうけるには
・不動産所得(事業的規模である場合)又は事業所得のある人
・日々の取引を正規の簿記の原則に従って記帳すること
・確定申告期限内に確定申告書の提出すること
・提出した確定申告書に貸借対照表と損益計算書を添付し、控除を受けようとする青色申告特別控除額を記載すること
などの要件を満たすことが必要となってきます。
ここでは「青色申告の65万円の控除」をうける考え方を、わかりやすく説明しています。
私は青色申告ソフト「やよいの青色申告」を利用していますので、文中に登場するのは「やよいの青色申告」です。
これを20年近く私は使っています。他のソフトは使ったことがありませんので比較できないですが「やよいの青色申告」は便利です。
本文記事の内容
1:作業フロー
2:収入と支出を帳簿記帳
3:青色申告決算書の作成
- 1:作業フロー
1-1、収入と支出を帳簿の記帳
1-2、青色申告決算書の作成
1-3、確定申告書の作成
1-4、申告会場(税務署)で上記作成した青色申告決算書と確定申告書などを提出
確定申告の作業フローを以下に記載します。
大きな流れを理解し、その意味を知ることにより質問なども出来るようになります。
1-1、収入と支出を帳簿の記帳
最初に収入と支出をすべて記帳します。仕訳入力です。
以下のものを準備する必要があります
①普通預金通帳
お金の出入りがすべて記帳されているもの。定期的に記載していないとまとめて記載される事があるので気をつけてください。1件1件の詳細内容を把握する必要があります。
②カード利用明細
1月~12月の12ヶ月分。通帳にはカード全体の金額しか記帳されていませんが、全ての明細がわかるもの。
③領収書
現金でものを購入した時にもらう領収書。ノートに1月1日から12月31日まで順に貼り付けておくと良い。
上記の準備は年を超さなくても出来るので、やっておく。特に領収書は日頃から一カ所に集めておくと便利。これらを見ながら「やよいの青色申告」から1件づつ仕訳入力を行います
1-2、青色申告決算書の作成
「やよいの青色申告」を利用すれば、「1、仕訳入力」から自動的に印刷されます。
最初のページがこれで、決算書は全部で4ページあります。
1-3、確定申告書の作成
「1-2、青色申告決算書の作成」までの作業は、自分の事業の仕事の儲け計算です。今までやってきたことは、売上から経費を引いた実利益の計算を行ってきました。これは確定申告書の一部であり、ここでは他の箇所を記載していきます。内容としては、色々な控除金額(配偶者控除・生命保険等)をマイナスしたり、会社やアルバイトで他の場所から給料をもらっている場合などは給与所得としてプラスしたりし、最終的に納めるべき税金金額を決定します。
この作業は家でもできますが、申告時期に会場へ行くと、タッチパネル形式で登録ができます。2020年からはスマホでできます。
最初は途中で迷うかもしれないので、会場まで行って登録するのが良いと思います。
確定申告書はこれが最初のページで全部で2枚あります。
1-4、申告会場(税務署)で上記作成した青色申告決算書と確定申告書などを提出
以前は、上記で作成した青色申告決算書(「弥生」から印刷したもの)、確定申告書(申告会場で作成したもの)と添付資料(住宅控除・生命保険・給与所得証明書など)いっしょに提出していました。
最後に税務署に提出するのは、税金の金額を自ら記入してそれを提出して完了でした。
しかし、最近はスマホで確定申告書を作成し、データを送信して終わりです。
最初は手書きで行い。何を行っているかの内容も把握していたため、電子決済になっても戸惑うことはありませんでしたが、いきなりこの電子決済だと理解出来ない人がいるかもしれません。
だから、最初から最後までの大きな流れをインプットしておくことが大事です。
この金額を算出したもの(領収書)などは、5年ぐらい保存しておき、何らかのトラブルがあった場合に利用されるそうですので、捨てないで保管しておきます。
私は昔「青色申告会」というところに入っていたのですが、「やよいの青色申告」を買って、内容を理解すれば自分でもできるようになると思います。
ここが 国税庁の青色申告制度になります。
国税庁の青色申告制度
- 2:収入と支出を帳簿記帳
2-1、普通預金通帳
2-2、カード利用明細
2-3、領収書
無料で使える「やよいの青色申告 オンライン」
帳簿記帳の例をいくつかあげます。上記「1-1、収入と支出を帳簿の記帳」の具体的な仕分け方法です。
2-1、普通預金通帳
【収入パターン】
1月末締めで3月5日に1月分の売上(350,000円)が振り込まれる場合
借方 貸方
———————————————–
1/31 売掛金 350,000 売上(1月分) 350,000
3/5 普通預金 350,000 売掛金 350,000
1月末で売上は発生しますが、お金はまだもらっていません。それは売掛金として計上します。
その売掛金が普通預金に翌々月の5日に入ってくるので、その日のまた仕訳が発生します。
5日に現金でもらえるなら、借方は普通預金でなく現金という科目になります。
【支出パターン①】
毎月10日に家賃100,000円が自動的に普通預金から引き落とされるとします。
しかし、家を事務所扱いにしている(20%を事務所で使っている)ため、2割を経費にしたい時。とりあえず2割8割を考えることなく、地代家賃の科目で仕訳を起こします。この経費2割は12か月分すべて仕訳を終えた後に『家事按分振替』にて行います。
借方 貸方
———————————————–
1/10 地代家賃 100,000 普通預金 100,000
【支出パターン②】
1月15日にカードを利用して仕事で使う本を購入し、その支払い(カード代金)が2月10日に普通預金から落とされる場合。
借方 貸方
———————————————–
1/15 新聞図書代 5,000 未払い金 5,000
2/10 未払い金 5,000 普通預金 5,000
上記の2月10日の仕訳だけが、普通預金から拾えます。ここのカードで落とされる金額は「未払い金」にします。後にカード明細からこの「未払い金」の明細を上記の1月15日の明細のように仕訳します。
【支出パターン③】
事業用のお金を借りていてその返済が普通預金から自動的に引き落とされる場合。たとえば毎月20日に10,000円返済しているのだけれども、その内訳は借入金の返済が9,000円でその支払利息が1,000円の場合。
借方 貸方
———————————————–
1/20 借入金 9,000 普通預金 9,000
1/20 支払利息 1,000 普通預金 1,000
【支出パターン④】
普通預金から自分が遊ぶお金を1月17日に30,000円引き出した場合。
借方 貸方
———————————————–
1/17 事業主貸 30,000 普通預金 30,000
となります。逆に、普通預金にお金を預けた場合、例えば1月18日に15,000円普通預金に入れた場合。
借方 貸方
———————————————–
1/18 普通預金 15,000 事業主借 15,000
2-2、カード利用明細
普通預金からカードの利用料金が引き落とされるパターンは上記で行いました。
カードを利用した日に発生する仕訳も上記で行いました。
ここで大事なのは、普通預金から引き落とされる料金すべての内容、つまり、カードを利用して支払った記録をすべて仕訳する必要があります。
仕訳はこのように
借方 貸方
———————————————–
1/15 新聞図書代 5,000 未払い金 5,000
借方には、色々な科目を記述しますが、貸方は、すべて「未払い金」となります。
例えば保険料をカードで引き落としている場合。借方は「事業主貸」となります。事業に関係なく自分の為に使用するお金は全て「事業主貸」です。
2-3、領収書
領収書は、月単位に分け、それを日付順にします。そのあと、ノートにすべて日付順で貼り付けます。このノートを見ながら仕訳入力です
例えば1月18日に仕事で使う本を3,000円で購入した場合。
借方 貸方
———————————————–
1/18 新聞図書費 3,000 現金 3,000
このように現金の仕訳は、借方には、色々な科目を記述しますが、貸方は、すべて「現金」となります。
これですべての仕訳入力は完了です。預金通帳から自動引き落としされたもの。その中で引き落とされたカード代金に関するもの。最後に現金での取引情報です。日付は自動的に日付順に並ぶので、預金通帳・カード明細・領収書の順で仕分けすると便利です。
今は各科目ごとに送金額が計算された状態になっています。ここから『家事按分振替』を行います。これは、事業割合と家事割合をパーセントで分割するものです。
例えば、家で仕事を行っていて、ここは分譲マンションで住宅ローンで購入したもの、の場合。
50%を事業にする場合、最初に家の見取り図などで、どの部分を事業に使っているかなどの説明書を添付すると良いでしょう。ただし、住宅ローン控除も50%しか受けれないということを認識しておいてください。
このように、地代家賃、水道光熱費など事業で使っているものを順に家事按分振替します
- 3:青色申告決算書の作成
3-1、今までのおさらい
3-2、『決算書作成画面』の印刷
会計ソフトNo.1の弥生から新登場「やよいの青色申告 オンライン」-初年度無料-
3-1、今までのおさらい
仕訳入力の完了
1)普通預金通帳からお金の出入り
※普通預金通帳を保管
2)カードの明細を追記
※カード明細を12ヶ月保管
3)現金での経費払い
※すべての請求書をノートに貼って保管
4)按分の設定
ここまでで、すべての仕訳が完了し、かつその仕訳の証拠となるものも保管できました
『決算書作成画面』の印刷
「決算・申告(K)」⇒「決算書作成(K)」を選択すると
『決算書作成画面』が表示されます
ここから印刷します
印刷されるものは、以下の通りです
『損益計算書』
『売上及び仕入等』
『原価償却費』
『貸借対照表・製造原価』
無料で使える「弥生のクラウド確定申告ソフト」