人気のハードボイルド作品スペンサーシリーズ ロバート・B・パーカー
ロバート・B・パーカーは2010年1月に逝去されました。
それまでは毎年1冊づつ新刊が出ていて、本屋に行くのが楽しみだったのですが、彼が亡くなり数年たつと、本棚にはロバートBパーカーの名札もなくなり、スペンサーシリーズの本も少なくなってきました。
彼を忘れないため、スペンサーシリーズをわすれないためここに書き留めておこうと思います。
村上春樹もパーカーの愛読者であり、 そのエッセイの中で「日大卒の秘書にパーカーの新作を朗読してもらうのが夢」と記しています、これは多分英文を直接読まれているのでしょう。
スペンサーシリーズとは
スペンサーはボストンの私立探偵です。
依頼者が直接スペンサーの事務所に仕事を依頼しにくる場合が多いです。
金額が1ドルからでも引き受けます。仕事の内容が重要になってきます。
舞台はアメリカボストン。ボストン市の中心にあるのがボストン・コモン。アメリカ最古の公園で設立は1634年。人々はパークと呼ばずにコモンと親しく呼ぶらしい。
登場人物
スペンサー
姓はスペンサー。綴りがSpenserであり、cerでなくserであることに非常にこだわっている。名は不明。スペンサーとしか呼ばれない。
身長6フィート1インチ(約185センチ)。
体重201ポンド(約91キロ)。
1日平均5マイル(約8キロ)走り、ベンチプレスは300ポンド(約136キロ)上げる。
スペンサー本人は、鼻を何度も折られたケーリー・グラントに似ていると言うが、パーカーはロバート・ミッチャムに似ていると証言する。
趣味は読書、木彫、美術鑑賞、音楽鑑賞、映画鑑賞、料理。
チーズバーガーと冷やした赤ワインが好き。しかし、一番好きなのはビール。
スーザン・シルヴァマン
スペンサーの恋人。バツ1。
身長5フィート7インチ(約170センチ)。
精神科医としてケンブリッジの自宅で診療所を経営しつつ、タフツ大学で心理学を教えている。
スペンサーは美人でないと語っているが、ものすごい美人だと思う。
1974年に起こった「誘拐」事件を通してスペンサーと知り合う。
カントリーミュージックをよく聞き、ウィリー・ネルソンとウェイロン・ジェニングスが好き。ショッピングが好きで料理は出来ない。ダイエットコークとインスタントコーヒーを自宅での日常の飲み物にしている。
ホーク
姓なのか名なのかわからない。通称ホーク。
スペンサーの相棒。良く仕事を手伝ってもらう。
身長6フィート2インチ(約188センチ)。
体重205ポンド(約93キロ)。
黒人でスキンヘッドであるが、黒人であることは時に意味はない。作中で時々スペンサーと黒人と白人についての冗談を言っている。
愛車はシルヴァー・グレイのジャガーXJ12。ガールフレンドは数多い。
週1回スペンサーと食事をとる。
ポール・ジャコミン
両親の離婚により虚脱症状を示す無感動児になるが、スペンサーに助けられる。
名作「初秋」に登場する。
マーティン・クワーク
ボストン市警察殺人課課長。
身長6フィート1インチ(約185センチ)。
体重201ポンド(約91キロ)より少し重い。
全体的にスペンサーよりゴツく、手、指、その他とにかく肉厚。
部下のフランク・ベルソンによると、相当タフであるという。そのベルソンとのコンビネーションも抜群で、捜査官としては沈着冷静。
「真紅の歓び」事件ではスペンサーの依頼主という状況におかれる。
髪が少しでも伸びているところを一度も見たことがないと、スペンサーは言う。
ピンとしたシャツ、ピシっとしたズボン、ピカピカに磨かれた靴、いつもそんなファッションで登場する。
ヘンリイ・シモリ
スペンサーとホークの心の友。
ハーバー・ヘルス・クラブの経営者。
身長5フィート4インチ(約163センチ)。
元ライト級ボクサー。その後、海岸通りのハーバー・ヘルス・クラブのトレーナーになる。その時にスペンサーとホークのトレーナーとなり、支配人を経て最終的には経営者となる。現在でも二人のトレーナーを続けている。
以上。引用:スペンサーを見る辞典(早川書房)
名場面
スーザンがどこかへ行ってしまった時のこと
彼女はいなかった。テラスにもロビイにも駐車場にもいなかった。彼女の小型のシェヴィ・ノヴァを探したが、見当たらなかった。部屋に帰った。彼女のスーツケースは台にのったままで、戸棚に衣類が吊してあった。衣類をもたないで帰るようなことはしない。私をおいて帰るかもしれないが、衣類は放っておかない。私は、ベッドに腰を下ろして、部屋の隅の赤い椅子を見ていた。座席は成型プラスティックで、黒っぽい木の細く丸い脚の先に真鍮金具がついている。優雅だ。自分はタフな大男だ、泣くわけにはいかない。それに、泣くのには年をとりすぎている。問題はそんなに簡単なものじゃないんだ。ちくしょう。(引用:約束の地 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 110‐3)))
ポールとの会話
「ぼくの父は一度も料理を作ったことがない」
「おれの親父はやったよ」
「父は、料理は女の子がすることだ、と言った」
「半ば正しいな」
「えっ?」
「女の子が料理を作るし、男の子も作る。大人の女が作るし、大人の男も作る。わかるだろう。彼は半ば正しかっただけだ」
「そうだね」(引用:初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ))
スーザンの問い
どの作品のどの場面か忘れてしまいましたが、シチュエーションは3人が部屋に隠れていて周りは敵だらけ。おなかがすき、ホークが何か食べ物を買いに外に出て帰って来た時。「ホークだ」
スペンサーはドアを開けた。
ここでスーザンが、どうしてホークが一人であるとわかったの?銃を突きつけられてここに連れられてきたかもしれないのに、とスペンサーに聞いた。
「ホークだからだ。彼はそういう状況ならここにはこない。これは俺がそういう立場になってもだ」
と答えたような気がする。
スーザンにはこの二人の男同士の信頼関係が良くわからなかったようである。
お勧め作品

『失投』~『残酷な土地』
『ダブル・デュースの対決』
全巻紹介
1、The Godwulf Manuscript (1973)『ゴッドウルフの行方 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)』
2、God Save the Child (1974)『誘拐 (ハヤカワミテリ文庫―スペンサー・シリーズ)』
3、Mortal Stakes (1975)『失投 (1977年)』
4、Promised Land (1976)『約束の地 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 110‐3))』
5、The Judas Goat (1978)『ユダの山羊 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)』
6、Looking for Rachel Wallace (1980)『レイチェル・ウォレスを捜せ (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)』
7、Early Autumn (1981)『初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)』
8、A Savage Place (1981)『残酷な土地 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)』
9、Ceremony (1982)『儀式』菊池光訳 ハヤカワ・ノヴェルズ/ハヤカワ・ミステリ文庫:Amazaon在庫なし
10、The Widening Gyre (1983)『拡がる環 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)』
11、Valediction (1984)『告別 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
12、A Catskill Eagle (1985)『キャッツキルの鷲 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)』
13、Taming a Sea-Horse (1986)『海馬を馴らす (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
14、Pale Kings and Princes (1987)『蒼ざめた王たち (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)』
15、Crimson Joy (1988)『真紅の歓び (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
16、Playmates (1989)『プレイメイツ (ハヤカワ文庫)』
17、Stardust (1990)『スターダスト』菊池光訳 ハヤカワ・ノヴェルズ/ハヤカワ・ミステリ文庫:Amazon在庫なし
18、Pastime (1991)『晩秋―スペンサー・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
19、Double Deuce (1992)『ダブル・デュースの対決―スペンサー・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
20、Paper Doll (1993)『ペイパー・ドール―スペンサー・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
21、Walking Shadow (1994)『歩く影 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
22、Thin Air (1995)『虚空―スペンサー・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
23、Chance (1996)『チャンス』菊池光訳 ハヤカワ・ノヴェルズ/ハヤカワ・ミステリ文庫:Amazon在庫なし
24、Small Vices (1997)『悪党 スペンサー・シリーズ (ハヤカワ文庫 HM)』
25、Sudden Mischief (1998)『突然の災禍 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
26、Hush Money (1999)『沈黙 (ハヤカワ・ミステリ文庫 スペンサー・シリーズ)』
27、Hugger Mugger (2000)『ハガ-マガ-を守れ』菊池光訳 ハヤカワ・ノヴェルズ/ハヤカワ・ミステリ文庫:Amazon在庫なし
28、Potshot (2001)『ポットショットの銃弾 (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
29、Widow’s Walk (2002)『笑う未亡人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-42 スペンサー・シリーズ)』
30、Back Story (2003)『真相―スペンサー・シリーズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)』
31、Bad Business (2004)『背信 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-47 スペンサー・シリーズ)』
32、Cold Service (2005)『冷たい銃声 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-49 スペンサー・シリーズ)』
33、School Days (2005)『スクール・デイズ』加賀山卓朗訳 ハヤカワ・ノヴェルズ/ハヤカワ・ミステリ文庫:Amazon在庫なし
34、Dream Girl (2006)『ドリームガール (ハヤカワ・ノヴェルズ)』
35、Now and Then (2007)『昔日(ハヤカワ・ミステリ文庫) (スペンサー・シリーズ)』
36、Rough Weather (2008)『灰色の嵐』加賀山卓朗訳 ハヤカワ・ノヴェルズ/ハヤカワ・ミステリ文庫:Amazon在庫なし
37、The Professional (2009)『プロフェッショナル〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 (スペンサー・シリーズ)』
38、Painted Ladies (2010)『盗まれた貴婦人〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 (スペンサー・シリーズ)』
39、Sixkill (2011)『春嵐(ハヤカワ・ノヴェルズ) (スペンサー・シリーズ)』
以下ロバート・B・パーカーの後を引き継いだエース・アトキンス著
日本版は2020/11/25現在出版されていません
(1)Robert B. Parker’s Lullaby (Spenser) (2012)
(2)Robert B. Parker’s Wonderland (Spenser) (2013)
(3)Silent Night: A Spenser Holiday Novel (2013)
(4)Robert B. Parker’s Cheap Shot (Spenser) (2014)
(5)Robert B. Parker’s Kickback (Spenser) (2015)
(6)Robert B. Parker’s Slow Burn (Spenser) (2016)
(7)Robert B. Parker’s Little White Lies (Spenser) (2017)
(8)Robert B. Parker’s Old Black Magic (Robert B Parkers Spenser) (2018)
(9)Robert B. Parker’s Angel Eyes (Spenser) (2019)
(10)Robert B. Parker’s Someone To Watch Over Me (2020)